10歳の天才少年 T.S. Spivetは、永久運動機の発明で Smithonian Institution 科学賞を受賞。授賞式に出席するためワシントンDCへひとりで旅をする。旅と授賞式を経験することで、自分の居場所を再発見する。従来のジャン=ピエール・ジュネ作品とは異なったテーマを扱ったもの。
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T.S. スピヴェットは昆虫学者の母、カウボーイの父、ミス・アメリカになることを夢見ている姉、双子の兄レイトンとともにモンタナの牧場で暮らしていた。TSは幼少時からすべてのことをサイエンス的に分析して考える子だったが、兄と普通の少年とおなじように遊ぶことも多く、のどかな日々を過ごしていた。しかし、ある日、納屋で兄と2人で銃で遊んでいた時に銃が暴発、兄が死んでしまってから、家の中はぎくしゃくして、TSは自分の居場所が無くなった様な感覚を持つようになった。
そんなある日、彼の永久運動車輪がスミソニアン学術協会のベアード賞を受賞し、授賞式に招かれた。自分を求めている場所があると思ったTSは荷物をパックしてひとりでワシントンDCへ向かう。授賞式でTSは受賞への感謝の気持ちを述べたあと、永久運動の磁気車輪について簡単に説明し、それから、レイトンの死について話した。TSの受賞スピーチは大喝采を浴び、協会の後押しもありテレビ出演をすることになったTSは、そこでサプライズ・ゲストとして登場した母親と会う。母は、レイトンの死について、あなたは悪くなかったとTSに言う。子供だけで納屋で銃遊びした状況が悪かったのだと。和解した親子はハグし番組を去りモンタナに戻る。一家は再び以前のようにのどかに暮らし始めるのだった。
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ジャン=ピエール・ジュネの映像は美しく、カット割も気持ちよい。
2013年フランス・オーストラリア・カナダ。
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