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  TRIP REPORT
  ICELAND February - March 2009  

 
20090226 thu
To Iceland // Bjork

長年の夢であったアイスランド旅行が実現する日。今夜から4日間、火と氷と火山の国への旅である。

3時半過ぎに、会社を出て電車でNJのオフィスからNYCへ。そこから地下鉄(Aトレイン)とバス(Q10)を乗り継ぎJFK空港へ。地下鉄からバスへの乗り換えはトランスファーで無料となるので、NYCから空港まで2ドルで行ける方法である。NYCからJFKまではヘリコプター、リムジン、タクシー、シャトルバス、エアートレインなど色々アクセスがあるが、これが一番安い。コネクションもスムーズで空港にはずいぶん早く着いた。待合室でのんびりと夕食を食べたりしてボーディングを待つ。

20:00のアイスランド・エアー機は定刻どおり出発。満席のボーイング757にて5時間45分のフライト。

アイスランド・エアーはソフト・ドリンクはサーブされるが、それ以外はアルコール、枕、毛布は全て有料。食事も出ない。空港で食べておいてよかった。

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機内エンターテインメントは映画、TV、音楽など選択肢はけっこう広い。音楽のメニューにはBjork(ビョーク)があるのは、さすがアイスランド航空だ。



 
20090227 fri
レイキャビクにてオーロラ! - Day 1

朝の7時すこし前に定刻どおりレイキャビクの空港に到着。まだ真っ暗。

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通関を済ませてバスの切符を買って外に出た頃にうっすらと日が差してきた。極地に近い当地は日の出の時間がまだ遅くて明るくなるのが8時過ぎなのだ。空港から街まで30〜40分くらい。天気は小雪が舞っている。

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ホテル着9時ごろ。アーリー・チェックインが出来たのでシャワー、仮眠。12時半ごろに起きたら外はすっかり晴天になっていた。

1時半ごろホテルを出て街の散歩。海沿いに設置された散歩道を4キロほど歩く。

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レイキャビク湾の対岸には雪をかぶった山が連なる。どれも標高は1000m程度で山頂部分が平らな形をしている。これは氷河の下で噴火した火山の特徴。

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途中でバイキングの船をモダナイズしたのだと思しきスカルプチャーを発見。なかなかセンスがよい。散歩の目的地はAVISのレンタカー・オフィス。そこで予約しておいた車をピックアップする。ヒュンデイのGetzという車で欧州でよく見かける典型的な小型車のスタイル。小さいけれど5速のフロアシフトでそれなりにパワーがある。

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一旦ホテルに戻り車をパークして再び徒歩で夕食に出かける。ホテルのフロントで聞いたヴェジタリアン・レストラン。Frommers(旅行書)に出ていて行こうと思っていたのと奇しくも同じ場所だった。超物価高でレストランも極めて値段の高いアイスランドだが、カフェテリア方式のその店では2千円くらいで食事できた。好きな5品を選ぶ。野菜と豆のパテ、ポテトと野菜のペースト、キャベツとターンニップの煮物、野菜ラザニア、ハマスのブリットーを選択。玄米とトマトソースが付く。パンは雑穀ブレッドで非常に美味。 Á Næstu Grösum
Laugavegur 20b
Tel: 552-8410
Hour: Mon-Sat 11:30am-10pm; Sun 5-10pm
www.anaestugrosum.is

食事を終えて外に出たら雨になった。濡れながらホテルに戻り、本日の写真をダウンロードして見る。今晩はオーロラは無理かなあと思いながらのんびり。

21時近くになり外を見たら雨はすっかりあがり雲も切れ目が出て星空がのぞいている。アクティビティーもオーロラ予報で確認したところいけそうだ。これはオーロラ見物に出かけない手は無い。

Aurora Forecast

支度をしてホテルから歩いて海辺に出る。海岸沿いに歩き「ベスト・スポット」をさがす。ベスト・スポットの条件は、周囲に明かりが無く暗い事、北の空が良く見える事。30分くらい歩き町の明かりがあまり無い桟橋に到達。北西の空をみると緑色にぼんやり光り始めた場所があるではないか。それがみるみる明るさを増して形をかえる。

「オーロラだ!」 

次に少し北側の空に光る緑色のカーテンのドレープが折り返すように動く。神秘的にすら見える天文現象。数分後に別の場所で縦に長い緑色の光の束がすーっと出てすーっと消えた。曇り空に開いた雲の「窓」からの観測となったので、全天を覆い尽くすような大型のオーロラという訳にはいかないが、イメージで描いていたとおりの光と動き。アクティビティーがすこし静かになったので、すこし場所を変えて更に暗い場所に移動。30分ほど待つと北の空に横に長く光る緑色の帯が出現。この帯はあまり形を変えず、そのかわり、長めの時間、空に光っていた。次第に色が薄くなり気づいたら消えていた。23:30ごろに撤収。一部凍った道を歩いてホテルに戻る。3泊という限られた夜の数でオーロラが見えるかどうか心配だったが、思ったとおりちゃんとわたしの前に姿を現してくれた。満足の夜。



 
20090228 sat
Vik: Iceland - Day 2

10時ごろホテルを出発。アイスランドの南岸(South shore)をドライブ。約200km先のVikという港町が目的地だが、そこまでの道のりの景観がすばらしいのである。

滞在している首都レイキャビクはアイスランドの西端に位置しているので、南東に向けて、国道1号線をはしる。

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30分も走らないうちに山というか小高い丘のようなのぼり坂になる。それまでは枯れ草や岩のみえる景色だったのに、少し昇っただけでいきなり周囲は真っ白の雪と氷に覆われた岩山の世界になる。そして白煙のようなものが上がっているのが遠くに見える。 近づいたら、それは煙ではなくて水蒸気であり、ジオサーマルの施設だったのだ。一面の雪のなかから噴出す水蒸気が青空をバックに空高く上昇していく様子というのは非常に不思議な光景で、まるでどこか別の世界にワープしたような気がした。

アイスランドは、実は全ての暖房はジオサーマルでまかなわれており、この施設からも太いパイプがレイキャビクまで敷かれていて温水が送られているという。 また、発電はジオサーマルまたは水力発電でまかなわれており、油を燃すといった火力発電所は存在しない。クリーンなのだ。

10分程度で下り坂になり下山、雪の世界から枯れ草や岩の世界に戻り、あとは平坦な道が続く。

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道にはガードレールが無い。自己責任という事なのだろうが、両側が平らな場所なら別に良い、崖だったり凍結している曲がりくねった山道などではかなり怖い。

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右手には固まった溶岩から出来た平原や海、左手は平原や雪に覆われた山、時々滝や湖という静寂な景観がひろがる。その静けさがとても感性にあい心地よい。

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途中、景色の良いところで止まっては写真撮影しながらなのでVikに着いたのは午後2時過ぎ。Vikはアイスランドサウス・コーストの東西ほぼ真ん中に位置している町。町といっても、ガソリンスタンド兼カフェ兼パーキングといった施設が一軒あるきり。

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駐車場に車を停めて雪原を約5分ほど歩き海岸に到達。アイスランドの砂浜は全てブラック・サンドと呼ばれる真っ黒でキメの細かいもので、すべては溶岩が元となっている。砂浜に混じっている石も黒いものが多い。気泡の多い軽石のようなタイプが散見され、これが、火山爆発の際に地球の中から火口を通り飛び出してきたのかと思うとジュール・ヴェルヌの世界そのもので噴火の様子やマグマなどのイメージが脳裏に浮かぶ。

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海岸に沿った道では乗馬を楽しむ人が沢山いて、海に反射する黄金色の太陽光線にうかぶホース・バック・ライダーたちのシルエットが美しい。

この人たちはこの海岸沿いの道で乗馬するがめに車でやってくる。駐車場には馬を運ぶワゴンを引いた車がたくさん。

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Vikの海岸のもうひとつの特徴は、沖にある要塞のようなユニークな形の岩(Sea Stack)で、手前に波、後方に浮かぶ尖塔のような岩という景観はため息が出る美しさで写真を何枚も激写。

暗くなると路面が凍結し、タイヤが滑りやすくなるので、その前にレイキャビクのホテルに戻れるように3時半ごろVikを出発。帰りはどこにもストップせずまっすぐドライブなので約2時間でレイキャビクに戻れた。日没は6PM過ぎなので問題なし。

まだ明るかったので市内の未見の地域をドライブ。きれいな教会や住宅街を見物して7時ごろホテルに戻った。



 
20090301 sun
Golden Circle: Iceland - Day 3

本日の行き先は「ゴールデン・サークル」。といってもそういう名前の場所があるのではなくて、190kmのサークル状のループに名所が点在しているのだ。

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まずはGullfoss(ガルフォス)。ガルはアイスランド語でゴールド、フォスは滝という意味なので、黄金滝ということになる。滝はV字型で大量の水が流れ落ち、更に2段になっているのでもう一回水が落ちるという立体的なもの。冬なので周囲はだいぶ凍っていたがそれでも豊かな水量がごうごうと音をたてて落ち、氷と滝が幽玄な景観をかもし出す。

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次に滝から500メーターくらいの場所にあるガイザー。ジオサーマル効果で地表のあちらこちらから水蒸気があがっている。

間欠泉は少し奥にあり5分から10分の間隔で温水を吹き上げる。

75mの高さまで温水の上がったオリジナルのガイザーは今は活動をしておらず、その近くにあるStrokkurという名の別の間欠泉が観察できる。こちらは温水の柱の最大高が25m。

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丸く囲った小さな池のようにしてある場所では湯気を上げるお湯が動いている。その水面の動きに上下動が加わったと思うと、いきなり水面が半球を伏せた形で大きく盛り上がった。色はターコイズ・ブルー。まるで水晶の球があがってくるよう。

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そして次の瞬間、大量の水蒸気とともに温泉が空中高くにふき上がった。夢中でシャッターを切る。ワイド〜望遠のズームをつけていたので立ち居地は水の柱のすぐ近くだったけれど間欠泉のてっぺんまで写真撮影に成功。水が吹き上がっている時間はほんの数秒で、空中に水蒸気をのこしてあっという間に水柱は消えてしまう。丸い池の部分にごぼごぼと吸い込まれる大量の水。すごいなあ。間欠泉をみたのは生まれて初めてで、とても面白かった。

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ガイザーを後にしてR36を南下、20分くらいでケリズ火口湖(Kerið:Kerithと発音)に到着。6500年前の噴火で出来たといわれている周囲270m、深さ55mの火口湖は道路からすぐ。湖は真っ白に凍っており、周囲の火口も雪で真っ白になっていてかつて火と溶岩を吹き上げた場所が静かになっている対比が興味深い。

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次の目的地はシンクヴェリル国立公園(Þingvellir:Thingvellirと発音)。ここではテクトニック・プレートを観る。アイスランドは国の真ん中にユーラシア・プレートと北米プレートの境界となる地溝があり、島の中央部では隆起した地溝帯(Rift)が地上に出ているので実際の地球の割れ目を見る事ができる世界でも稀有の土地。2つのプレートの境目(地球の割れ目)からは絶え間なく溶岩が隆起しており、したがってアイスランドは今でも一年に2cmくらいのスピードで東西に成長を続けている、そういう意味では「若い」島といえるのだ。

このプレートが別れる(ぶつかる)地域には、国家的に歴史的な意味を持つ場所がある。1,100年前にヴァイキングが始めて議会を持った場所であり、現在ではそこにアイスランドの国旗がはためいている。そういう過去を思い目の前に広がる岩を見ていたらいきなり雪が降り始めて歴史が脳裏に広がりめくるめくような経験を堪能。

4時ごろに国立公園を後にR36〜R1経由レイキャビクに戻る。Bonusというスーパーマーケットに寄りボトル入りの水を買う。アイスランドは水道水も品質はよさそうだが、ホテルの水道水は硫黄臭が強くて(特に温水の方が)飲む気分がおきないのである。物価の高い国だが水は安価。2リッター入りで100円程度。



 
20090302 mon
Blue Lagoon: Iceland - Day 4

あっという間にアイスランド4日目、最終日である。NYへのフライトは5PM、3PMまでにチェックインすれば良いので本日使える時間には余裕がある。

レイキャビクと空港の中間点にある「ブルー・ラグーン」を訪れる。

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レイキャビクからブルー・ラグーンまでは No. 41を Keflavik(ケフラヴィック空港)方向に一時間弱、Grindavikで左折する。Grindavikで左折する時に、「Blue Lagoonはこちら」といったサインは一切ないので要注意。左折後、ブルーラグーンまで5分ほどの場所の景色はまるで月世界みたい。

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ここは戸外のホットスプリング(温泉)。地熱発電の研究施設を作るために工事をしていて偶然にみつけた温泉を利用したもので、人工的に作られた大きな円形の温水プールにミネラルの豊富な温泉のお湯が注がれている。周囲を岩で囲んだ広い露天風呂の水の色はターコイズ・ブルー。まさに名前のとおりブルー・ラグーンである。

入場料20ユーロ(3500クローナ)、約3000円くらい。電子ロック付きのロッカー代込み。タオル(€4)とローブ(€7)は別料金。

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ロッカー・ルームで水着に着替えて温水プールへ。もうもうと水蒸気があがるターコイズ・ブルーの水の周囲は岩で囲まれ、遠景は雪をかぶった山。一時間くらいお湯の中にいて泳いだり、サウナに入ったり、と、お風呂に興味の無いわたしでも、非常に楽しめた。

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2時少し前にあがりシャワーを済ませてケフラヴィック空港に向かう。ブルーラグーンから空港までは20分くらいのドライブ。

空港でレンタカーを返して、フライトのチェックイン。ケフラヴィック空港は広くて立派だが、チェックインした段階での出発便はたったの5便。無駄に広いエアポートだ。

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定刻どおりアイスランド・エアーは出発。往きとおなじボーイング757。となりの席は何と往きのフライトで隣だったひとだった。まあ、木曜日の夜から月曜日という日程はティピカルなのだろうが。

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離陸してすぐ、眼下にフィヨルドが見える。最後にみるアイスランドの景色として最適。

アイスランド4日間の旅、地殻活動および火山活動により形成された島は、景観が極めて素晴らしくて、いままで訪問した土地のなかで最も美しい自然を満喫できる場所であった。何時の日か再訪したい。








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