『 ビーイング・ジョン・マルコビッチ 』

Being John Malkovich  (1999) U.S.A. 1hr. 52min.



オフィスの壁にあった小さなドアを開けるとそこは俳優ジョン・マルコビッチの頭の中に繋がっていた。 第72回アカデミー賞で監督賞、助演女優賞、脚本賞の3 部門でノミネートされた、奇想天外な発想のSF・コメディー。

クレイグ・シュワルツ(ジョン・キューザック)は、ニュー・ヨークの街角で人形劇を演じたりしているけれど仕事が無い売れない人形使い。 妻のロッテ(キャメロン・デイアズ)とは結婚して10年になる。ふたりの住むアパートはチンパンジーやらオウムやらの動物でいっぱいだ。それというのも、ペットショップで働くロッテは仕事熱心で自宅に病気の動物達をつれてきて世話をしているからなのだ。
妻の勧めもあって、クレイグは就職することにした。人形使いという手先の器用さを生かせる職場としてクレイグが求人蘭から探し出したのはファイル・クラーク。 応募したレスター商会という会社は、訪れてみるとマンハッタンのとあるビルの 7-1/2階という半端なロケーションで、天井の高さも普通の 1/2という風変わりな職場環境だった。 めでたく採用されたクレイグは会社のオリエンテーションで見かけたマキシーン(キャサリーン・キーナー)に一目ぼれしてしまうが、彼女の方はクレイグを何とも思っていなかった。

仕事中に書類をキャビネットの後ろに落してしまったクレイグは書類を拾う為にキャビネットをどかしたところ奇妙な小さなドアがあるのを発見する。 ドアを開けてみるとトンネルが続いている。そこは何とジョン・マルコビッチの頭の中に繋がっていたのだ。そこを通っていくと15分間だけジョン・マルコビッチになれるのだった。

自分の発見した事実に興奮したクレイグはその事をマキシーンに話した。クレイグにしてみればマキシーンの気をひきたいが為に話したのだが、マキシーンは願ってもないビジネス・チャンスと考えた。 「一回200ドルで15分間他の人になれる」という JM, INC.を一緒にやろうではないかとクレイグに持ちかけるのだった。

クレイグから不思議なポータルの話を聞いたロッテは是非自分も経験したいと、直ちにビルの 7-1/2階へ向かった。 ロッテはマルコビッチ体験にかつてない興奮を覚えた。今迄の自分と違うあるものを見出したのだとクレイグに告げる。 クレイグの人世もまたマルコビッチになった事から変化してきた・・・

極めてオリジナルなストーリーは心地よいスピード感で展開する脚本でパワフルなファンタジー的作品に仕上がっている。 ジョン・マルコビッチ本人もジョン・マルコビッチの役で出演している。1984年に『プレイス・イン・ザ・ハート』で助演男優賞を受賞しているジョン・マルコビッチは『コン・エアー』など恐い役が多いが、今回はここまでやるかという可笑しさだ。

人形つかいのシーンが何回も出てくるが、そのパペットの見事な動きも楽しめた。
「奇抜すぎてちょっと・・・」という評論家の意見もある様だが、わたしは、あらゆる意味で「必見!」と言いたいイチオシ作品。
(05/23/00)

dir: Spike Jonze


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