『 エリン・ブロコビッチ 』

Erin Brockovich (2000) U.S.A. 2hr. 11min.



アメリカ・カリフォルニア州の小さな町の弁護士事務所で働く無学の女性が大企業を相手に全米史上最高額の和解金を勝ち取るという実話に基づいた物語。

エリン・ブロコビッチ(ジュリア・ロバーツ)は、 離婚歴2回、3人の子持ち、無学、貯金は16ドル、失業中という身の上だった。 交通事故で知り合った弁護士エド(アルバート・フィニー)の事務所に無理やり入り込み下級クラークとして働く様になって数日後、命じられた書類の整理をしようとしたら、 どうしても内容的に同じファイルにならなそうな不動産会社と医療関係のデータの混在を不思議に思い調べ始める。 そもそもは、書類の整理の為の内容確認が目的だったが実は大変な事実が隠されていたことに気づき、上司の許可のものと更なる調査を進めた。

Pacific Gas & Electric社 による水の汚染隠蔽工作が明らかになってきた。 この事実を放置してはおけないと彼女の自我が芽生え調査に没頭する。 地道な調査の結果、PG&Eがクロムの不法投棄を行った事により付近の水は著しく汚染され工場周辺の住民に癌やその他の病気が多発する結果となっている事との関連性の立証に成功した。
企業の水質汚染が住民の健康障害の原因である証拠が揃ったあとは、住民の90%以上の署名を集めて企業に損害賠償の請求をする事になる。 そしてエリンは熱意と持ち合わせていた才能により、18ヶ月後には634人の原告団を結成、33百万ドルの示談を成立させることに成功する。

ケース・クローズのあと立派なオフィスに移った弁護士事務所で、エリンは、コーナーオフィス(ビルの角部屋の個室=ステータス・シンボル)とちょっとした金額のボーナス(2百万ドル!)を得た後も事務所で有能さを発揮。 現在 エドと共に7つのケースを抱えているという。

弁護士事務所が出てくるが法廷でのやり取りの場面は無く、調査と住民の説得を行う主人公の活動が主な映画。 ただ、その主人公が魅力的なのだ。 無学で下品だけれどバイタリティーあふれる女性が明晰な頭脳と粘り強さで自分の価値を発見し人生を切り開いていくサクセス・ストーリー。 成功に必要なのは体力と明るさだという事を教訓としたのが政策側の意図かどうかはわからないが、元気な主人公の歯切れ良い立ち振る舞いは観ていて小気味良い。 下品な言葉(大いに笑える)を乱発する無教養だけど元気でイノセントというのはジュリア・ロバーツにぴったり。 ノッティングヒルでわけ分からない大女優をやっているより、こういったプリティーウーマン路線が彼女には合うように思う。
観る前は2時間11分という長さに心の準備をして挑んだが長さを全く感じることなく、見終わったあとの印象も実に良い。

dir: Steven Soderbergh
(10/07/00)

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