『 イグジステンズ 』
eXistenZ (1999) U.S.A. 1hr. 37min.
近未来の世界ではスーパー・バーチャル・リアリティーのゲームが人々の娯楽になっていた。しかし、バーチャル・リアリティーがあまりに進歩して完璧になったので現実との境界線が不明確になっていく。
ゲームをしていくうちに主人公が入り込んでいく異様な世界を描いたクローネンバーグ監督のSF。
◇
アンテナ社の新作ゲーム「イグジステンズ」の体験発表会でゲームを設計したアレグラ・ゲラー(ジェニファー・ジェイソン・リー)が狙撃された。
アンテナ社の見習い社員テッド・パイカル(ジュード・ロウ)はアレグラと共に会場を脱出する。
しかし、行く先々でアレグラは危険な目にあう。彼女を殺すことにより大金を得ることができる人々が居たのだ。
逃亡しながらも彼女は謎の鍵はゲームの中にある、と自分の作ったゲームが気になる。嫌がるテッドをむりやりゲームに誘う。
イグジステンズはプレーヤーの背中に開けた穴、バイオ・ポートにゲーム機を接続することによりゲームをダウンロードしあとはプレーヤー達の想像力がゲームのストーリーを構築していくものだが、テッドは穴を開けていなかったのでもよりのガソリン・スタンドでもぐりでバイオ・ポートの穴を開けるガス(ウイレム・ダフォー)を訪ねる。
かくして脊髄にポートを持つ身になったテッドはアレグラとケーブルで繋ぎゲームを開始する。
時々、ゲームを「Pause」にして現実に戻ってくるテッドだが、何だか現実が非現実的に感じてしまう。
ゲームに戻り、ゲームの中で更にゲームをして、また、現実と非現実の間を移行しているうちに2人の前にあらわれる世界は秩序が不明確になってくる。
それでもゲームは続けなければならない。勝つ為に。しかしその先にあるのは・・・
◇
ゲームの世界に参加するには、背中に開けたバイオ・ポートと呼ばれる「穴」に肌色の管で「ポッド」と呼ばれるゲーム・コントローラを繋ぐのだが、このコントローラは肌色のぐにゅぐにゅなカタチで人造臓器みたいなもので出来ている。修理する様子は、まるで動物の臓器を手術しているみたい。かなりグロテスク。
バイオ・ポートは背中に開けた「穴」で、そこに、ゲーム機を繋ぐときはいちいち管を舐めたりして無理矢理セックスと関連ずけをするのがわざとらしくしつこいがエロティックな感じは無く気持ち悪さが先にたつ。
ゲームに登場する奇妙な世界でも不気味さを強調した爬虫類や魚類がグロテスクに登場する。ヴィジュアル的にひたすら嫌な感じを追求したした作りのようだ。
現実と虚構を行き来するうちにどこまでがどちらかわからなくなってくる主人公。
テーマはとても興味深く面白いのだが映像や表現方法が馴染めなかった。こういうのは好きな人にとってはたまらないカルト・クラシックになっていくのだろうなあ。
(05/24/00)
dir: David Cronenberg
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