『 フィッシャー・キング 』
Fisher King, The (1991) U.S.A. 2hr. 17min.
人間の傷を癒すことが出来るのは無償の愛なのだ、なんて書くと陳腐になってしまうが、それが映像マジックと脚本マジックと出演者の波長がぴったり合ったマジックにより厭味の無い感動作に仕上がった。
献身と救済をテーマに、ニューヨークのマンハッタンを舞台にしたラブ・ファンタジー。
◇
ジャック(ジェフ・ブリッジズ)はちょと過激な語り口で人気絶頂のDJ。
番組で彼の不用意な発言を聞いた男が乱射事件を起こし、7人の犠牲者が出た。現場に居合わせた大学教授(ロビン・ウイリアムス)は目の前で妻を失いショックで社会からドロップアウト、パリーという別人格のホームレスになる。
パリーは心を過去に起き去り、自分が大学教授の時に研究していた「フィッシャー・キング(アーサー王)」の妄想の中で生きる事を選択したのだ。
ジャックは番組での失敗で失踪、同棲相手のアン(マーセデス・ルール)の経営するレンタルビデオ店をたまに手伝うといった生活を送っていた。
ある日、ジャックはパリー出会うことになる。ジャックはパリーから「聖杯伝説」の話を聞かされる。パリーはジャックこそがその聖杯を手に入れることの出来る男だという。
しばらくしてジャックはパリーが妻を失ったのは自分が原因だった事を知る様になり、パリーの力になろうと思う。
パリーは駅で見掛けた一風変わった女性(アマンダ・プラマー)にひとめ惚れしていたので、ジャックはアンと共にパリーのデートのお膳立てをする。
デートは成功するが、その帰りにパリーは暴漢に襲われ瀕死の重傷を負い植物人間化してしまう。
ジャックはパリーを救う為にアーサー王の「人の傷を癒す聖杯」を盗み出す決心をする・・・
◇
アーサー王の聖杯伝説という難解なテーマを扱っているけれど、暖かく心に直(じか)に語りかけてくるラブストーリーとして楽しめる。
グランド・セントラル・ステーションでの出逢い/ダンス・シーンはもしかすると今世紀最高のシーンかもしれない。
これだけでも見る価値は充分にある。
dir: Terry Gilliam
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